February 20, 2020

CardanoのPoSとDPoSの比較

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はじめに
科学哲学とピアレビュー(査読)を基礎とする第3世代ブロックチェーン、Cardanoは、コンセンサスメカニズムとしてProof-of-Stake(PoS)を活用し、第1世代ブロックチェーンのビットコイン同等のセキュリティを確保しています。コンセンサスメカニズムとは、ブロックチェーンがネットワークおよびレコードのセキュリティを実現する方式にあたるものです。

現在活用できるブロックチェーンコンセンサスメカニズムとして、Delegated Proof-of-Stake (DPoS)という選択肢もあります。DPoSとPoSには多くの類似点があります。どちらのメカニズムも、ネットワークにおけるコンセンサスの実現を、オフチェーンのリソース(ビットコインのハッシュパワーなど)よりもオンチェーンのリソース(システムにおけるステークなど)に依存しています。コンセンサスはネットワークのセキュリティ確保の要となるものですが、誰でもネットワークに参加できる分散型パブリックブロックチェーンにとっては、特に重要な意味を持つのです。

では、DPoSとCardanoのPoSシステムは特にどのような点が異なるのでしょうか。今回のブログでご紹介します。

コンセンサスプロトコルの概要
コンセンサスプロトコルは、集団がシステムがどのような状態であるべきかを決定するような状況にも対応します。暗号通貨を扱うすべての台帳は、時間の経過とともにデータ記録が変化します。すなわち、ある状態から別の状態への「変化」という概念を持っています。ある人が別の人とトランザクションを実行する場合、価値の移動のプロセスが必ず発生します。このプロセスがどのように発生し、誰が関与したかを定義するのが、コンセンサスアルゴリズムです。第1世代ビットコインは、メリットベースの「くじ引き」システムという独創的な方法を生み出しました。この方法では、ネットワークの関与者がセキュリティ確保のために仕事をすると、その見返りとしてデジタルくじのチケットが与えられます。そして、くじの当選者はネットワークをAの状態からBの状態へと変えることでネットワークを進化させ、その取り組みに対してビットコインで報酬を支払われます。しかしこの方法では、エネルギー、およびマイニングのための機器などのリソースが大量に必要です。DPoSやCardanoのPoSは、特別なマイニング機器や電力を大量に必要とすることなく、ネットワークのセキュリティを実現します。

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CardanoのPoSとDPoSの比較
ウロボロスは、全く新しいPoSコンセンサスアルゴリズムで、Cardanoブロックチェーンの根幹を形成します。Cardanoのネイティブ仮想通貨であるADAは「ステーク」と呼ばれます。また、Cardanoの台帳では、ビットコインにおける「マイナー」に相当するのは「ADAステークホルダー」と呼ばれる人々です。CardanoのPoSシステムでは、ブロックを生成するステークホルダーを、台帳に記録されたステークの重量に基づき、無作為に抽出するプロセスを採用しています。Cardanoブロックチェーンのブロックの時間は「エポック」と呼ばれ、エポック内の個々のユニットの時間は「スロット」と呼ばれます。ブロックの生成者として選ばれたとしても、すべてのステークホルダーがブロックを生成する知識を持つわけではありません。そこで、ステークホルダーは自身のステークをステークプールに委任することで、リソースをプールすることができます。ステークプールオペレーターと呼ばれるステークプールの管理者は、ウロボロスアルゴリズムにより自らに委任されているステークが選出されると、そのスロットのあいだ、ブロックの生成を管理します。このような行為に対する報酬は、自動的にステークホルダーと共有されることになります。

一方、DPoSシステムでは、ブロック生成の責任者はステークホルダーの投票により決定されます。Cardano PoSでは投票メカニズムを用いず、ステークをステークプールに委任するため、この点が両者の相違点です。DPoSのそれぞれの参加者の一票の重さは、その人の持つ暗号通貨の量に依存します。こうして選出されたブロックの生成者は、トランザクションをブロックへとグループ化し、ネットワークにブロードキャストする責任を持ちます。ブロック生成者はネットワークの進行に対して報酬を受け取ります。DPoSでは、自分の責務を果たせなかったブロック生成者は、投票によりその立場を剥奪されることになります。DPoSの仕組みは、投票により選出される一定数の代表者の存在に依存しています。すなわち、一部の関係者がネットワークを進行することができるのです。

こうした点は、Cardanoとは大きく異なっています。Cardanoブロックチェーンのネットワークシミュレーションは、Cardanoブロックチェーンが1,000ものプールを効率的に運営し、より分散化された、非中央集権的でセキュアなネットワークを実現していることを示しています。EMURGOの内製開発によるセイザCardanoブロックチェーンエクスプローラーはShelleyとの完全な互換性を持ち、このようなプールのステークプールデータにより、Cardanoが完全な分散型ブロックチェーンへと進化していくストーリーを示してくれます。

Cardano PoSもDPoSも、参加のためにはブロックチェーンとの同期を行うことが必要です。PoSシステムでは、悪意のある者が秘密裏に過去のブロックチェーンから分岐した非常に長いチェーンを生成して、広範囲な攻撃を引き起こす可能性があります。これは、実際以上に長大になったチェーンの存在により、ノード(ブロックチェーンのコピーを実行するサーバー)に混乱が生じることで損害が発生します。Cardanoはこれに対し、Bootstrapping From Genesis(ジェネシスのブートストラップ)と呼ばれる、最も密度の濃いチェーンを常に選択するという解決策を生み出しました。密度が濃いとは、こうしたチェーンの参加数やトランザクション数が非常に多いということです。この解決策は、Shelleyメインネットの開始とともにCardanoに導入されます。

ジェネシスのブートストラップを理解するために、道路の分岐点に車がいるところを想像してみましょう。ドライバーは、どちらの道へ進むかを判断しなくてはいけません。分岐したそれぞれ道は、ブロックチェーンのコピーを表しています。ビットコインは、最も長い道が常に正しいと考えます。長い道を舗装するには、多くのエネルギーや仕事量が必要となり、攻撃者が同じことを行うのは困難だからです。一方、ジェネシスのブートストラップは、多くの車や人々が通行する道とさびれた長い道が存在する場合、前者を選択します。

DPoSシステムでは、ブロック生成者の参加が最も多いブロックチェーンが選ばれます。単独で運営を行うブロック生成者は、一般的に参加率が低いと考えられます。マイノリティである参加者が不正な意図を持ったとしても、主要なブロックチェーンより高い参加率を持つブロックチェーンを複製することはできません。DPoSでは、ネットワークが分裂した場合、その中で最も長いチェーンがコンセンサスを得ることになります。

最後に

Cardanoのウロボロスプロトコルは、ADA暗号通貨を持つ人がCardanoシステムで望ましい結果を得るよう判断できるように、という哲学に基づき設計されています。ADA暗号通貨の保有者は、システムで「ステーク」を持っていると見なされます。システムを攻撃しようとネットワーク内で不正な行為をする者が現れたとしても、自身の行為がブロックチェーンの価格に反映されてしまいます。つまり、コンセンサスを得たルールに反した行動は、彼らの利益にも反する結果を生み出します。さらに、CardanoのPoSプロトコルは、ハッシュパワーのような外部の力の影響を受けることはなく、参加者が大規模なエネルギー資源を用いてシステムに損害を与えることはできません。

システムの維持の責任を持つ者は、継続的に仕事をすることで多額の報酬を得られるという原理は、DPoSの設計思想にも類似するものです。DPoSでは、ステークホルダーの投票により選任された少数の関係者がネットワークの維持に関わりますが、一方でCardanoのPoSシステムでは、誰もがトランザクションのブロックを検証する能力を潜在的に手にしています。これが、CardanoのPoSとDPoSの根本的な違いです。

CardanoのPoSは、より多くのブロック生成者が存在するため、DPoSよりも分散化されたブロックチェーンを実現できます。分散化により、単一点に集約された弱点を分散することができ、よりセキュリティの確保された状態で、分散的かつ協力的に同等のサービスを提供することができます。これにより、堅牢性とセキュリティに優れたネットワークを確立することができるのです。

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